歯ブラシの持ち方は、歯みがきの効果に大きく影響します。持ち方によって、力の具合や動かし方、よごれのアプローチの仕方などが異なるため、オーラルケアに関心のある方は、適切な歯ブラシの持ち方について正しく理解しておきましょう。
本記事では、歯ブラシの持ち方や歯みがきのポイント、適切なタイミングをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
歯みがきの必要性とは?
歯みがきの主な目的は、歯に付着するプラークの除去です。プラークは細菌の集まりであり、むし歯や歯周病の元となりますが、色が歯に似ているため、見落としやすいです。
さらに、水には溶けず、歯の表面に固着するため、うがいだけでは取り除けません。このため、効果的な歯みがきが何よりも大切で、プラークをしっかりと落とせば、むし歯や歯周病のリスクを減らせます。
歯ブラシの持ち方は2種類
次は、歯ブラシの持ち方について解説します。
- パームグリップ
- ペングリップ
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.パームグリップ
手のひら全体で歯ブラシを持つ「パームグリップ」は、安定した握りで、力を入れやすいのが特徴です。しかし、力を入れすぎると歯ぐきを傷める可能性があるため、毛先が広がらないように注意しながら磨きましょう。
さらに、歯ブラシを歯に当てる力が加わりやすく、細かい動きが難しい場合もあるため、優しく、細やかな動きを心がけましょう。また、手のひらと親指を使った持ち方は、力が入らない場合や手首に問題がある方に適しています。
2.ペングリップ
「ペングリップ」は、鉛筆を持つように握る持ち方です。この方法では、歯ブラシの動きがスムーズになり、力の調整も簡単なため、効率的にブラッシングできるのが特徴です。また、手首を使って小刻みに動かせるため、磨きたい部分にピンポイントでアプローチできます。
しかし、指先に一定の力が求められるため、小さな子どもや筋力が低下した方には適していない場合があります。
歯みがきのポイントは5つ
次は、歯みがきのポイントについて解説します。
- 歯ブラシは濡らさない
- 歯垢がつきやすい場所を意識する
- すすぎ過ぎに注意する
- 歯ブラシの使用後は乾燥させる
- うがいの水は少量にする
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.歯ブラシは濡らさない
多くの人が歯を磨く前に歯ブラシを水で湿らせる習慣を持っていますが、注意が必要です。歯ブラシを水で濡らすと、発泡剤が含まれている歯みがき粉が過剰に泡立ちやすくなります。
その結果、薬用成分がすぐに流れてしまうだけでなく、十分に磨けたと勘違いしかねません。これにより、歯みがきの効果が十分に得られない可能性があるため、歯ブラシを濡らさずに使用するのがおすすめです。
2.歯垢がつきやすい場所を意識する
歯の間や歯ぐきとの接触部分、歯のかみ合わせ部分は、歯垢が蓄積しやすい場所です。これらのエリアに歯ブラシの毛先が確実に届くように心がけて、丁寧に歯みがきをしましょう。
また、歯垢が残らないようにするためには、歯みがきの際に意識して磨く場所や順序を決めておくのも大切です。適切な方法で磨けば、口内環境をより良好に保てます。
3.すすぎ過ぎに注意する
歯みがき後に口内を清潔に保つために、大量の水で何度もすすいでしまう場合がありますが、あまりよい方法ではありません。その理由は、歯みがき粉に含まれるフッ素などの有効成分が流されてしまうためです。
このため、10mlほどの水で一度軽くすすぐだけで、必要な効果は十分に得られます。過度のすすぎは逆に歯みがき粉のメリットを減らす原因となるため、適度にすすぐのがおすすめです。
4.歯ブラシの使用後は乾燥させる
歯ブラシの使用後は、まず丁寧に洗い流し、全体の水分をしっかりと拭き取ることが大切です。湿気が残った状態で放置すると、雑菌の繁殖が進む可能性があります。
このため、歯ブラシを収納する際には、通気性のよい場所を選び、密閉されたケースに入れるのは避けましょう。乾燥させるとカビの発生を防ぎ、清潔な状態を維持できます。
5.うがいの水は少量にする
歯みがき粉は、口内のよごれを取り除くのに役立つだけでなく、再付着を防ぐ効果もあります。さらに、配合されている薬用成分により、さまざまな口腔内のトラブルに対処できます。
自身の口の状態に適した歯みがき粉を選ぶと、プラークの効果的な除去が可能です。使用後の口内に薬用成分を留めるためには、大人はうがいを1回、少量の水(約15ml)で行うのがおすすめです。
歯みがきの適切なタイミング
次は、歯みがきの適切なタイミングについて解説します。
- 食後
- 就寝前
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.食後
食事後には、口内の細菌が糖分を分解して酸を生成し、歯の表面に酸性を作り出している状態です。この酸性環境が続くと、歯のエナメル質からカルシウムやリンが溶け出しやすくなります。
唾液が酸を中和するのには時間がかかるため、歯が酸に長時間さらされるとむし歯のリスクが増します。このため、歯垢の蓄積やむし歯の予防のために、食後30分以内に歯みがきをする習慣を身につけましょう。
2.就寝前
就寝中は唾液の分泌が減少し、口の清潔を保つ機能が低下するため、細菌が増殖しやすい状態です。このため、就寝前にしっかりと歯を磨かないと、むし歯のリスクが高まる可能性があります。
また、就寝前の歯みがきは、普段よりも丁寧にすることが大切です。歯がよごれたまま寝ないように、一日の終わりには時間をかけてしっかりと歯を磨く習慣を身につけてください。
歯ブラシの持ち方でよくある3つの質問
最後に、歯ブラシの持ち方でよくある質問について解説します。
- 質問1.歯ブラシの選び方は?
- 質問2.歯ブラシの交換時期と目安は?
- 質問3.歯みがきのやりすぎはよくない?
それぞれ詳しくみていきましょう。
質問1.歯ブラシの選び方は?
市販の歯ブラシにはさまざまな種類があり、それぞれの目的に特化した機能が備わっています。たとえば、むし歯予防や歯のホワイトニング、歯ぐきのマッサージ、歯周病対策などさまざまです。これらの歯ブラシのなかから、目的に応じて選ぶようにしましょう。
このため、パッケージの説明を参考に、自分の目的に合ったものを選ぶのがおすすめです。さらに、歯科医院で専門家のアドバイスを受けるのも有益です。
また、歯ブラシのヘッドのサイズや毛の硬さは、自分の歯の状態や好みに合わせて選ぶ必要があります。ヘッドが小さめのものは細かい部分も磨きやすく、毛の硬さは歯ぐきの状態に合わせて調整しましょう。
なお、歯ブラシの硬さの種類や特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:歯ブラシの硬さの種類や特徴とは?おすすめの歯ブラシの硬さや選び方を徹底解説! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム
質問2.歯ブラシの交換時期と目安は?
歯ブラシの交換は、毎月実施するのがおすすめです。口内には常に多くの細菌が存在し、使用後にしっかりと洗浄しても、ブラシの根元には細菌が溜まってしまいます。
また、毛先が開いた歯ブラシでは、よごれを効果的に除去できず、口内の衛生状態が悪化しかねません。さらに、ブラシの毛先が広がっていると、歯みがきの効果が減少したり、歯ぐきが傷ついたりする可能性もあります。
このため、定期的にチェックして、毛先の状態が良好なうちに交換しましょう。
なお、歯ブラシの交換時期については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【歯科技工のプロが教える】歯ブラシの交換時期はいつ?適切な交換頻度や長く使い続けるデメリットをご紹介! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム
質問3.歯みがきのやりすぎはよくない?
歯みがきのやりすぎは、エナメル質の摩耗と歯ぐきの損傷につながるため、よくないといわれています。エナメル質は歯の表面を保護する大切な層ですが、過度なブラッシングで削り取ってしまう可能性があります。
このため、歯が過敏になったり、傷ができたりしかねません。また、歯ぐきも同様にデリケートで、強すぎる磨き方や長時間のブラッシングが、歯ぐきの炎症や出血を引き起こす場合があります。
これらの問題を避けるために、適切な力を加えながら短時間で磨くのがおすすめです。
まとめ
本記事では、歯ブラシの持ち方や歯みがきのポイント、適切なタイミングをご紹介しました。
歯ブラシの持ち方には、2種類あります。手のひら全体で歯ブラシを持つ「パームグリップ」は、安定した握りで、力を入れやすいのが特徴です。
一方、「ペングリップ」は、歯ブラシの動きをスムーズにし、力の調整が簡単にできるため、効率的に歯を磨けるのが特徴の持ち方です。自分に合った歯ブラシの持ち方で、毎日のケアを心がけましょう。
また、歯ブラシを濡らしてしまうと、薬用成分がすぐに流れるため効果が発揮されません。さらに、歯の間や歯ぐきとの接触部分、歯のかみ合わせ部分は、歯垢が蓄積しやすいため、意識して磨きましょう。
すすぎやうがいの水の量は、少なめで、歯ブラシの使用後は水分を拭き取って保管する必要があります。また、むし歯のリスクを下げるためには、食後30分以内と就寝前に歯みがきをするようにしてください。
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