歯列矯正を検討している方で、マウスピースでの矯正について知りたい方もおられるのではないでしょうか。マウスピース矯正には、メリットとデメリットが存在するため、これらを事前に把握しておくことが大切です。
本記事では、マウスピース矯正の概要やメリット・デメリット、歯科矯正の流れをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
マウスピース矯正とは?
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使った歯列矯正の方法です。ワイヤーやブラケットを使用せず、定期的にマウスピースを交換して、少しずつ歯を移動させます。
この方法は、装置が目立たないため、周囲に気づかれにくく、社会人や人前に出る機会が多い方におすすめです。快適さと取り外し可能な利便性が特徴で、日常生活への影響が少ない点が評価されています。
歯が動く仕組み
マウスピース矯正は、歯根膜を介して歯に力を加えながら歯を移動させる仕組みです。歯は、歯槽骨と呼ばれる骨に固定されておらず、歯根膜という組織によって保持されています。
矯正装置を使って歯に継続的な圧力をかけると、歯根膜の片側が縮まり、反対側が伸びます。これにより、骨が分解され、反対側に新しい骨が形成されるプロセスが進み、少しずつ歯が正しい位置に動いていくわけです。
マウスピース矯正のメリットは3つ
次は、マウスピース矯正のメリットについて解説します。
- 矯正装置が目立たない
- 痛みや違和感が少ない
- 低予算で矯正できる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.矯正装置が目立たない
マウスピース矯正は、透明で薄いマウスピースを使用するため、矯正中でも周囲に気づかれにくく、日常生活でのストレスを軽減できます。たとえば、人前に立つ機会が多い方や、結婚式、就職活動といったライフイベントにおいても、安心して矯正治療を続けられるのが特徴です。
これにより、従来のワイヤー矯正に対して、外見に与える影響が少ないため、多くの方に選ばれています。
2.痛みや違和感が少ない
従来のワイヤー矯正では金属製の装置が原因で口腔内に傷がついたり、違和感を覚える場合がありました。しかし、マウスピース矯正では薄い透明な装置を使用するため、これらの問題を大幅に軽減できます。
さらに、口腔内にフィットするデザインにより、痛みや不快感が少ないため、快適に矯正を進められる点が特徴です。
3.低予算で矯正できる
マウスピース矯正には、全体的な矯正と部分的な矯正があり、それぞれの治療費は異なります。全体矯正は60万〜100万円、部分矯正は10万〜40万円が一般的な相場です。
また、前歯など一部の矯正であれば比較的安価に治療が可能ですが、理想的な歯並びを実現するためには、全体のバランスを考慮した治療が必要な場合もあります。このため、費用や治療範囲を検討しながら、自分に最適な矯正プランを選びましょう。
マウスピース矯正のデメリットは3つ
次は、マウスピース矯正のデメリットについて解説します。
- 装着時間が長い
- 装着中に飲食ができない
- 対応が難しい症例がある
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.装着時間が長い
マウスピース矯正は、装置を自分で取り外せますが、適切な使用時間を守らなければ、治療効果に影響が生じます。1日に17〜20時間の装着が推奨されており、食事や歯磨き以外の場面では、装着し続けなければなりません。
しかし、食事中には取り外しができるため、矯正器具による不便さを感じる必要がなく、好きなものを楽しめます。また、歯磨きも通常通り出来るため、口腔内の清潔さを保ちやすくなります。
なお、マウスピースの正しい洗い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが教える】マウスピースの正しい洗い方とは?汚れる原因や注意すべきポイントを徹底解説!
2.装着中に飲食ができない
マウスピース矯正を装着中には、基本的に水や無糖の炭酸水以外の飲食ができません。このため、食事のたびにマウスピースを取り外す手間が気になる方には、向いていない場合があります。
しかし、取り外しは非常に簡単で、慣れてしまえば数秒で済むため、わずらわしさは徐々に解消されます。矯正治療中でも食事を自由に楽しみたい方には、マウスピース矯正がおすすめです。
3.対応が難しい症例がある
マウスピース矯正は、軽度から中程度の歯列の問題に適している矯正方法です。しかし、抜歯が必要なケースや重度の叢生、外科的手術が必要な顎変形症など、複雑な症例には不向きな場合があります。
近年の技術進歩により、以前は難しいとされた症例の対応範囲が広がりつつありますが、ワイヤー矯正と比べると適応症例に制限があります。このため、最適な治療法は専門医と相談しながら決めるようにしましょう。
マウスピース矯正の流れ
マウスピース矯正の流れは、以下のとおりです。
- カウンセリング
専門医と歯並びや費用について話し合い、治療計画の大枠を決める
- 検査
虫歯や歯周病がないか、口腔内をチェックする
- 歯型の作成
検査結果に問題がなければ、歯型を取り、マウスピースを作成する
- 治療計画の作成
作製した歯型を確認して、具体的な治療計画を立てる
- 矯正治療開始
マウスピースを装着して、治療をスタートする
- 定期的なメンテナンス
治療期間中、定期的に通院してメンテナンスを受ける必要がある
- 保定、メンテナンス
矯正終了後、歯並びが元に戻らないように保定やメンテナンスを行う
マウスピース歯科矯正でよくある3つの質問
最後に、マウスピース歯科矯正でよくある質問について紹介します。
- 質問1.マウスピース矯正で失敗することはある?
- 質問2.マウスピースとワイヤー矯正の併用はできる?
- 質問3.子どもと大人のマウスピース矯正の違いは?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.マウスピース矯正で失敗することはある?
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べると効果が出にくい可能性があります。とくに、装着時間が不十分の場合は、計画通りに矯正が進みません。
また、治療終了後に保定装置を適切に使用しない場合も、歯が元の位置に戻ってしまうリスクが高くなります。このため、計画的な装着と保定の徹底が成功のポイントです。
質問2.マウスピースとワイヤー矯正の併用はできる?
マウスピース矯正では対応が難しい症例でも、治療の一部や最終調整をワイヤー矯正と併用すれば、治療の可能性が広がります。複雑なケースにおいては、マウスピース単独では理想的な結果が得られない場合も少なくありません。
このため、矯正計画を柔軟に調整できるように、マウスピース矯正とワイヤー矯正の両方の技術に精通した矯正専門医に相談するのがおすすめです。
質問3.子どもと大人のマウスピース矯正の違いは?
子ども向けのマウスピース矯正と大人向けのマウスピース矯正には異なる目的があります。子どもの矯正は、成長期を利用して将来の正しい歯並びの促進が主な目的です。
既製の色付きマウスピースを使い、短時間の装着で効果が期待できます。一方で、大人向けの矯正は、現在の歯並びを整え、口元の美しさを改善するのが目的で、個別に作成された透明なマウスピースを使い、1日20時間以上の装着が不可欠です。
まとめ
本記事では、マウスピース矯正の概要やメリット・デメリット、歯科矯正の流れをご紹介しました。
マウスピース矯正は、透明な矯正装置を使用した歯列矯正の方法です。ワイヤーやブラケットは使用せず、定期的にマウスピースを交換し、少しずつ歯を移動させる仕組みです。
この方法のメリットとしては、矯正装置が目立たない点や痛みや違和感が少ない点、低予算で矯正できる点が挙げられます。一方で、装着時間の長さや対応が難しい症例がある点がデメリットです。
もし、マウスピース矯正が気になった方は、これらのメリット・デメリットを正しく理解し、信頼できる矯正専門医に相談してみてはいかがでしょうか。
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