スポーツ用マウスガードは、競技中に発生する衝撃や食いしばりから歯と顎を保護するためのアイテムです。歯の損傷や顎の骨折を防ぐだけでなく、衝撃を吸収して脳震盪のリスクを軽減する効果も期待されています。
本記事では、スポーツ用マウスガードの概要や効果、種類、作製する際の流れをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
スポーツ用マウスガードとは?
スポーツ用マウスガードは、競技中に発生する衝撃や食いしばりから歯と顎を保護するためのアイテムです。シリコン製で上の歯全体を覆う設計が一般的で、強い衝撃が加わった際にも歯や顎、脳へのダメージを軽減します。
格闘技やラグビーのような身体的接触の多いスポーツでは、装着が義務付けられている場合もあります。近年では、義務ではない競技でも安全性や健康維持の観点から使用が推奨される場合が多いです。
スポーツ用マウスガードの効果は3つ
次は、スポーツ用マウスガードの効果について解説します。
- 外部からの衝撃を和らげられる
- 歯の損傷を防止できる
- 顎関節を保護できる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.外部からの衝撃を和らげられる
競技中に頭部や顎に直接加わる力は、脳震盪や深刻な怪我を引き起こしかねません。しかし、スポーツマウスガードを装着すれば、衝撃が分散され、身体へのダメージが軽減されます。
また、歯や顎の骨への負担も抑えられるため、安全性が向上します。さまざまな競技で利用が進んでおり、選手の健康を守るために欠かせないアイテムです。
2.歯の損傷を防止できる
ボールや相手選手との接触により、歯が欠けたり折れたりするリスクが高いスポーツでは、損傷の予防が不可欠です。前歯は衝撃を直接受けやすく、重大な損傷につながりかねません。
このため、マウスガードを装着すると、リスクを大幅に軽減できます。また、歯と歯の衝突を防ぐ効果もあるため、顎の筋肉への負担も軽減し、安全なプレーを支えるアイテムとして広く使用されています。
3.顎関節を保護できる
接触プレーが多い競技では、顎に直接的な負担がかかる場面が少なくありません。このため、スポーツマウスガードは、顎に加わる圧力を分散させ、顎関節へのダメージを予防する役割を果たします。
また、衝撃による顎の疲労を軽減する効果もあり、選手のパフォーマンス維持にも寄与します。安全性を高めるために広く利用されているアイテムです。
スポーツ用マウスガードの種類
次は、スポーツ用マウスガードの種類について解説します。
- 市販のスポーツ用マウスガード
- カスタムメイドのスポーツ用マウスガード
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
市販のスポーツ用マウスガード
市販のスポーツマウスガードは、手軽さと安価な価格設定が魅力のアイテムです。インターネット通販や量販店で簡単に入手でき、自宅で調整ができます。市販のものは、お湯で柔らかくした素材を噛み合わせて形状を整える方法の「ボイル・アンド・バイト」が一般的です。
これにより、矯正治療中の歯並びの変化にも対応しやすくなっています。しかし、耐久性やフィット感の面では限界があり、既製品特有の課題として、衝撃吸収力がオーダーメイド製品に劣る点が挙げられます。
カスタムメイドのスポーツ用マウスガード
カスタムメイドのマウスピースは、歯科医院で歯型をもとに製作されるオーダーメイド品で、市販品にはない特徴があります。価格はやや高いものの、歯並びや顎の形に完全に適合するため、装着感が非常によく、長時間使用しても快適です。
さらに、耐久性が高い素材で作られているため、繰り返し使える点が経済的なメリットがあります。また、フィット性が高いため、外部からの衝撃を効果的に吸収して、歯や顎だけでなく顔面全体をしっかり保護します。このように、快適性と安全性を重視する方にとって理想的な選択肢です。
スポーツ用マウスガードを作製する際の流れ
スポーツ用マウスガードを作製する際の流れは、以下のとおりです。一般的には、数回の通院と約2週間の期間で完成します。
- カウンセリング
競技内容や口内の健康状態を確認したうえで、最適なマウスガードの提案を受ける。虫歯や歯周病がある場合は、事前に治療を実施する
- 歯型を採取して作製開始
被せ物の治療と同様に、トレーに入れて歯型を採取して、マウスガードを作製する。カウンセリングで問題がなかった場合、同日に実施する可能性もある
- マウスガード完成、調整
完成したマウスガードは、実際に装着して調整を行い、フィット感や快適性を確認する。成長期の子どもは歯並びが変化するため、定期的に作り替えや調整が必要
また、装着後の違和感や不具合があれば、早めに歯科医院での調整をしてもらいましょう。
スポーツ用マウスガードの作製費用
スポーツマウスガードの作製には保険が適用されず、費用は一般的に5,000〜30,000円程度とされています。競技内容に応じて設計が異なるため、使用目的に合わせて選びましょう。
また、カラーバリエーションやデザインをカスタマイズできる場合が多く、選択肢が豊富な分、費用にも幅があります。歯科医院によって価格設定が異なるため、事前に詳細を確認するのがおすすめです。
スポーツ用マウスガードでよくある3つの質問
最後に、スポーツ用マウスガードでよくある質問について紹介します。
- 質問1.歯ぎしり用とスポーツ用のマウスピースの違いは?
- 質問2.スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点は?
- 質問3.マウスピースの保管方法は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.歯ぎしり用とスポーツ用のマウスピースの違いは?
歯ぎしり用は、主に睡眠中に使用され、歯や顎を無意識の歯ぎしりや食いしばりから守るために柔らかく快適な素材で作られています。一方、スポーツ用は運動中の強い衝撃を吸収し、歯や顎を保護するよう設計されており、硬い素材と厚みが特徴です。
また、装着感にも違いがあり、歯ぎしり用は軽量で快適性を重視しています。しかし、スポーツ用は保護性能を優先して、広範囲をしっかりカバーします。
なお、マウスピースの効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【歯ぎしり・食いしばり対策に】マウスピースの効果は4つ|種類や注意点、よくある質問まで徹底解説!
質問2.スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点は?
スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 唾液の自浄作用が弱まり、虫歯リスクが増加する
使用後は流水で丁寧に洗い、専用ケースで保管する。また、糖分を含む飲み物を摂取した場合は、マウスピースを外して口をすすいだり、フッ素入りの歯磨き粉を使用したりすると虫歯を予防できる
- 清潔にしておかないと、細菌が繁殖する
細菌が増殖すると、不快なにおいや健康被害の原因になる可能性があるため、清潔な水で洗う。洗浄方法を必ず守り、不明点は歯科医院に相談する
- 温度変化に弱い
熱湯や高温にさらすと変形する可能性がある。このため、洗浄時は熱湯を使わず、直射日光は避けて保管する必要がある
- 歯茎が下がる可能性がある
適切でないサイズのマウスピースを使用すると、歯茎に当たり、歯肉退縮が起こる場合がある。このため、装着時に違和感がある場合は、歯科医院に相談するのが望ましい
質問3.マウスピースの保管方法は?
マウスガードは使用後、流水で洗浄し、柔らかい歯ブラシで優しくよごれを落としましょう。高温には弱く、熱湯消毒を行うと形が変形する恐れがあるため避けてください。
また、マウスガードは素材の特性上、においを吸収しやすい性質があるため、専用の除菌・洗浄スプレーやリテーナー洗浄剤の使用がおすすめです。これにより、清潔な状態を保ちながら、臭いの付着を防止できます。
なお、マウスピースの正しい保管方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【歯科技工のプロが教える】マウスピースの正しい保管方法|洗い方やよくある質問まで徹底解説!
まとめ
本記事では、スポーツ用マウスガードの概要や効果、種類、作製する際の流れをご紹介しました。
格闘技やラグビーのような身体的接触の多いスポーツでは、スポーツ用マウスガードの装着が義務付けられている場合もあります。近年では、義務ではない競技でも安全性や健康維持の観点から使用が推奨される場合が多いです。
スポーツ用マウスガードの効果としては、外部からの衝撃を吸収し、脳震盪のリスクを軽減して、歯の損傷や顎関節への負担を防ぐ役割があります。種類は、手軽で安価な市販品と、歯科医院で個人の歯形に合わせて特注するカスタムメイド品があります。
カスタム品の価格はやや高いものの、歯並びや顎の形に完全に適合するため、装着感が非常によく、長時間使用しても快適です。
また、作製の流れは、カウンセリングからはじまり、歯型をもとにマウスガードが完成します。装着後の違和感や不具合があれば、早めに歯科医院での調整をしてもらいましょう。スポーツマウスガードの作製には保険が適用されず、費用は一般的に5,000〜30,000円程度とされています。
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