スポーツ選手の歯がボロボロになってしまう原因は、激しいトレーニングや試合中の衝撃だけでなく、意外な生活習慣や食生活が影響している可能性もあります。歯の健康が損なわれると、パフォーマンスの低下にもつながるため、しっかりとした対策が欠かせません。
本記事では、スポーツ選手の歯がボロボロになる原因やボロボロにならないためのポイントをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
歯とスポーツの関係とは？
競技中には、瞬発力を発揮したり、衝撃に耐えたりする場面が多く、歯をしっかりと噛み締めなければなりません。実際に、歯を食いしばると4～6％の筋力が向上するとされており、さまざまな分野のアスリートが効果を実感しているケースが多いです。
また、歯並びや噛み合わせが整うと体のバランスが安定して、運動パフォーマンスの向上につながるとされています。このため、スポーツ分野では「スポーツ歯学」という研究が進められており、選手のケガ予防やパフォーマンス向上を目的とした歯科的アプローチが取り入れられています。
スポーツ選手の歯がボロボロになる主な原因
次は、スポーツ選手の歯がボロボロになる主な原因について解説します。
- 噛み締めによる摩耗や欠損
- 免疫力の低下による歯周病
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
噛み締めによる摩耗や欠損
緊張したり力を込めたりすると、無意識のうちに奥歯を強く噛み締める場合があります。この習慣が続くと、歯に大きな負担がかかり、摩耗やひび割れ、場合によっては欠けてしまいます。
また、歯の表面が削れると知覚過敏の原因となり、冷たいものを口にした際に刺激を感じかねません。さらに、歯のダメージが進行すると、食事の際に違和感を覚えたり、噛む力が低下する可能性も高まります。
このため、歯を守るには、普段から噛み締めの癖を意識して、必要に応じて歯科医に相談しましょう。
免疫力の低下による歯周病
歯周病は、歯と歯茎の間に蓄積した細菌が原因で引き起こされる炎症性の疾患です。初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行して、歯を支える組織が徐々に破壊されていきます。
これは、免疫力の低下や生活習慣の乱れが歯周病菌の増殖を助長して、症状を悪化させる場合があります。進行すると歯がグラつき、最終的には抜け落ちてしまいかねません。歯周病を防ぐためには、適切な歯磨きの習慣を身につけるとともに、定期的な歯科検診を受けましょう。
なお、口臭の原因は歯周病については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事：【歯科技工のプロが教える】口臭は歯周病が原因？気になる口臭の種類や特徴、治し方を徹底解説！
スポーツで歯がボロボロにならないためのポイントは3つ
次は、スポーツで歯がボロボロにならないためのポイントについて解説します。
- スポーツドリンクを飲み過ぎない
- 定期検診を欠かさない
- マウスピースを装着する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.スポーツドリンクを飲み過ぎない
運動中や運動後には、エネルギー補給のためにスポーツドリンクや補助食品を摂取する人が多いです。しかし、これらの飲食物には糖分や酸が多く含まれており、口の中に残ると歯にダメージを与える可能性があります。
酸性の飲料は歯のエナメル質を溶かしやすく、虫歯や歯の弱体化を招く原因になりかねません。スポーツ時の水分補給は欠かせませんが、摂取後に水で口をすすいだり、こまめに水を飲んだりするなどの工夫が大切です。
2.定期検診を欠かさない
多くの人は、歯に痛みや違和感を感じてから歯科検診を受けるのが一般的です。しかし、その時点ではすでに症状が進行している場合が多く、日常生活やスポーツのパフォーマンスにも影響をおよぼす可能性があります。
このため、問題を未然に防ぐためには、症状が出る前から定期的な歯科検診を受けましょう。早期発見・早期治療を行うと、虫歯や歯周病のリスクを抑え、口内のトラブルに悩まされずに日々の活動に集中できます。
定期的なケアを習慣化すれば、安心して本来の力を発揮しやすくなり、余計な通院の手間を減らせます。
3.マウスピースを装着する
スポーツ中の口の怪我は、競技の種類に関わらず起こるリスクがあります。球技ではボールや道具が顔に当たったり、コンタクトスポーツでは相手の体が口元にぶつかったりする場合があります。
前歯は折れたり欠けたりする可能性が高く、場合によっては神経が損傷して、抜歯が必要なケースも珍しくありません。また、食いしばると奥歯に負担がかかり、歯の摩耗やヒビの原因となります。
このようなリスクを軽減するためには、マウスピースの使用がおすすめです。マウスピースは歯を衝撃から守るだけでなく、顎の安定にも寄与して、バランスの取れた動きをサポートする効果も期待できます。
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スポーツ選手 歯 ボロボロでよくある3つの質問
最後に、スポーツ選手 歯 ボロボロでよくある質問について紹介します。
- 質問1.スポーツ用マウスピースの役割とは？
- 質問2.マウスガードの着用がルールで義務付けられているスポーツは？
- 質問3.スポーツ選手が歯の矯正をするときの注意点は？
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.スポーツ用マウスピースの役割とは？
ボクシングや格闘技、ラグビー、アメリカンフットボールなどではマウスピースの着用が義務化されており、ほかの競技でも推奨されています。その理由のひとつは、顔や口への衝撃を和らげるためです。
激しい接触があるスポーツでは、歯の破折や顎の骨折、口内の裂傷などのリスクが高まりますが、マウスピースを装着すれば、このような怪我を防げます。また、噛み合わせを安定させれば体のバランスが向上して、運動能力や瞬発力の向上も期待できます。
なお、スポーツ用マウスピースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事：スポーツ用マウスピースとは？主な効果や種類、使用する際の注意点まで詳しくご紹介します！
質問2.マウスガードの着用がルールで義務付けられているスポーツは？
マウスガードの着用が義務付けられている競技は、以下のとおりです。
- ボクシング
- キックボクシング
- アメリカンフットボール
- アイスホッケー
- ラクロス（女子）
- ラグビー（中学生・高校生）
- 空手道の一部
- テコンドー（世界テコンドー連盟）
- インラインホッケー（ジュニア）
これらのスポーツでは激しい接触があり、口腔内の怪我を防ぐためにマウスガードが重要視されています。また、中学生や高校生の競技では、バスケットボールや野球といった球技でも、怪我が発生する場合があり、安全を確保するためにマウスガードの活用が推奨されています。
質問3.スポーツ選手が歯の矯正をするときの注意点は？
スポーツを行う際には、競技に適した矯正器具を選びましょう。たとえば、ラグビーやボクシングのように強い衝撃を受ける可能性がある競技では、ブラケットを使用したワイヤー矯正は口内を傷つけるリスクが高まるため、マウスピース矯正の方が適している場合があります。
矯正中の安全を確保するためにも、事前に歯科医師と相談し、競技に合った矯正方法の選択が大切です。また、固定式の矯正器具を装着している場合、歯磨きがしにくくなり、磨き残しによる虫歯のリスクが高まる可能性があります。
日頃から丁寧な歯のケアを心掛け、虫歯を予防する必要があります。
まとめ
本記事では、スポーツ選手の歯がボロボロになる原因やボロボロにならないためのポイントをご紹介しました。
スポーツ選手の歯がボロボロになる原因としては、強い噛み締めによる摩耗や欠損、免疫力の低下による歯周病などがあげられます。これらを防ぐためには、スポーツドリンクの摂取後には軽くうがいをしたり、水を飲んだりして糖分や酸によるダメージを避けましょう。
さらに、定期的な歯科検診で早期発見・早期治療を心がけ、試合や練習時にはマウスピースを装着して、歯を保護するのが効果的です。健康な歯を維持して、最高のパフォーマンスを発揮するためにも、日常的なケアを心がけてください。
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