口臭は多くの人の悩みであり、その原因は歯石かもしれません。歯石を放置しておくと、歯茎の腫れや膿につながり、口臭に悪影響をおよぼします。
本記事では、歯石が口臭の原因になる理由や除去する方法を解説します。また、よくある質問も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
歯石があると口臭の原因になる?
歯石は丁寧に歯を磨いていても付着するため、定期的な除去が必要です。個人差があり、次の歯石が付着するまでの期間は2~3か月ですが、なかには2~3週間で付着する人もいます。
歯石がついていると、歯の表面がざらざらし、よごれや細菌が付着しやすい状態です。この状態が進行すると、歯茎は腫れて歯垢や血液、浸出液が集まり、口臭が生じやすくなります。
さらに、歯と歯茎の間に歯石が溜まり腫れや膿が発生し、それが口臭の原因になります。歯石には、1gあたり10億から100億の細菌が存在するため、定期的な歯石の除去が不可欠です。
歯石が口臭の原因になる理由は3つ
次は、歯石が口臭の原因になる理由について解説します。
- 歯石についた歯垢が発酵する
- 歯石によって歯茎から出血する
- 歯茎の膿が悪臭を発生させる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.歯石についた歯垢が発酵する
歯石の表面がざらざらしており、口内の細菌や老廃物(歯垢)が付着しやすい状態です。付着した歯垢は発酵すると、卵や玉ねぎの腐ったような不快なにおいのガスを発生させ、口臭の原因になります。
さらに、歯石によって自浄作用が低下するため、歯垢が溜まりやすくなり、口臭の問題を悪化させます。
2.歯石によって歯茎から出血する
歯石が溜まると、歯茎から出血しやすくなるため、歯周病になる可能性が高いです。歯石の周囲には、細菌の塊である歯垢(プラーク)が付着し、これが歯茎内で炎症を引き起こして出血を促します。
この出血は、血なまぐさいようなにおいを放つ口臭の原因です。そのため、歯石とプラークの蓄積を防ぐことが、口臭を予防し、健康な口内環境を維持するために欠かせません。
3.歯茎の膿が悪臭を発生させる
歯周病の初期段階では、自覚症状がなく、歯茎からの出血でも治療しないまま放置するケースが多いです。この状態で歯垢と歯石を放置すると、病気は悪化して歯槽膿漏に至ります。
歯槽膿漏になると、歯茎から膿が出てきて、非常に強烈な悪臭を放つため、口臭もひどくなります。そのため、初期段階で歯周病の適切な治療が重要です。
なお、口臭歯周病については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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歯石を除去するメリットは3つ
次は、歯石を除去するメリットについて解説します。
- 口臭が改善できる
- むし歯や歯周病の進行を抑制できる
- 歯茎からの出血を防止できる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.口臭が改善できる
歯石の表面はざらざらしており、さらに多くの細菌が付着しやすい環境です。これらの細菌は毒素を放出し、特有の悪臭を引き起こします。また、歯石が原因で歯周病が進行し、出血や排膿によるにおいが生じます。
そのため、歯石を早期に除去すれば、口臭の改善が可能です。歯石が長く放置されると細菌はさらに増殖し、口臭が悪化するため、定期的なケアが欠かせません。
2.むし歯や歯周病の進行を抑制できる
歯周病は口の健康だけでなく、放置すると歯が抜ける原因や、認知症のリスクを高める場合もあります。歯石の表面はざらついており、その凹凸がよごれの沈着を促し、歯周病をさらに悪化させる可能性が高いです。
また、歯石のなかには口臭の原因菌だけでなく、歯周病菌や虫歯菌も潜んでいます。これらが歯茎に定着すると、慢性的に歯茎に悪影響をおよぼし、炎症が歯茎の骨にまで影響します。
3.歯茎からの出血を防止できる
歯石が除去されると、炎症が起きていた歯茎は引き締まり、出血もなくなります。しかし、歯石が歯茎にこびりついたままになると、歯茎の炎症は悪化し、歯周病菌の影響でさらなる炎症が起こります。
これは、身体の免疫系がバイ菌と戦っている状態です。炎症を起こした歯茎にはバイ菌を含んだ「汚い血」が溜まった状態であり、少しの刺激でも歯茎から出血しやすくなります。
さらに、黒っぽい歯石が沈着する歯肉縁下歯石が形成されます。そのため、炎症を抑え、健康な歯茎を保つためには、定期的な歯石の除去が不可欠です。
歯科医院で歯石を除去する3つの方法
次は、歯科医院で歯石を除去する方法について解説します。
- スケーリング
- ルートプレーニング
- フラップ手術
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.スケーリング
スケーリングとは、歯石をスケーラーと呼ばれる器具を使用して除去する処置です。主に超音波スケーラー(超音波を歯石に当てて分解する)とハンドスケーラー(手作業で除去する)の2種類です。
歯石は石灰化物で毒素は含まれておらず、多孔性の表面に細菌が繁殖し、歯周病の原因となる毒素を放出します。これが、歯肉の腫れや歯周の骨の溶解を引き起こします。
そのため、単に歯石を取り除くだけでなく、日常のプラークコントロールも重要です。治療費は保険診療の場合、1回あたり約1,000円(検査料を除く)で、自由診療では3,000円~10,000円です。
スケーリング後は一時的に冷たい物がしみたり、歯が長く感じられることがありますが、歯石が取れたためであり、心配は要りません。
2.ルートプレーニング
ルートプレーニングは、汚染された歯根(ルート)の表面を器具で削り取り、滑らかにする治療方法です。主に、歯周ポケットの深い場所に蓄積された歯石を除去するために行われます。
治療は、スケーリング(歯石除去)の後に続けて行われ、歯石除去後のざらついた表面をさらに滑らかに研磨します。保険診療の場合の治療費は1本あたり約200円、自由診療の場合は1時間で約10,000円が目安です。
3.フラップ手術
フラップ手術は、歯周基本治療で取りきれなかった深い歯周ポケットに残存する歯石を除去するための外科手術です。この手術は、歯周基本治療後に歯周ポケットが5mm以上あり、通常の方法では除去困難な歯石が残っている場合に行われます。
手術では、歯肉を切開し、歯周ポケットの奥深くにある歯石を目で確認しながら徹底的に除去します。これにより、歯石を取り残すことなく、歯周病の進行を抑制することが可能です。
口臭歯石でよくある3つの質問
次は、口臭歯石でよくある質問について紹介します。
- 質問1. 歯石は自分で除去できる?
- 質問2.歯石取りはどのぐらいの頻度で行くべき?
- 質問3.自宅で歯石を予防する方法は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1. 歯石は自分で除去できる?
市販のスケーラーを使用して、自分で歯石を取ることは可能です。しかし、歯科従事者でも歯石を完全に除去するためには訓練が必要なため、自分で完全に取り除くことは困難です。
また、以下の理由から、歯石を自分で除去するのはおすすめしません。専門の訓練を受けた歯科従事者による処置を受けることを強くおすすめします。
- 歯肉を傷つけるリスクがある
スケーラーの不慣れな使用は、歯肉へのダメージや、そこからの感染の可能性を高める
- 歯石しか除去できない
スケーラーは歯石の除去はできても、歯垢の根源であるバイオフィルムまでは取り除けない。バイオフィルムが残ると、歯石はすぐに再形成される
質問2.歯石取りはどのぐらいの頻度で行くべき?
歯石は、歯ブラシだけでは除去が難しいため、長期間そのままにしておくと溜まり続け、口臭の原因になります。このため、口内疾患の予防としても、定期的に歯医者での歯石取りがおすすめです。
人によって歯石が溜まりやすさや口内環境が異なるため、通常は3〜6か月ごとの歯石取りが理想的です。この頻度で、口臭予防だけでなく、むし歯や歯周病の予防にもつながります。
質問3.自宅で歯石を予防する方法は?
自宅で歯石を予防するための方法は、以下が挙げられます。
- 歯と歯肉の境目や咬み合わせ面を入念にブラッシングする
歯垢が溜まりやすい部分は、ブラシの毛先が隅々まで届くようにし、適切な力加減で丁寧に磨くことが重要。歯垢は24時間で硬化しはじめ、48時間で歯石へと変わる
- デンタルフロスを日常的に使用する
歯ブラシだけでは歯間のよごれを完全に除去できない。そのため、ブラッシング後にデンタルフロスで歯間の食べかすや歯垢を取り除くことが重要
まとめ
本記事では、歯石が口臭の原因になる理由や除去する方法を解説しました。
付着した歯垢が発酵すると、卵や玉ねぎの腐ったような不快なにおいのガスを放ちます。さらに、歯石は歯茎を出血させるため、放置してしまうと歯槽膿漏になり、口臭の悪化を招きかねません。
そのため、歯科従事者による処置を定期的に受けることが大切です。
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