マウスピースの効果を最大限に発揮するには、手入れがとても重要です。口腔内のトラブルを回避し、健康を維持するためにも、適切な洗浄と保管が欠かせません。
この記事では、マウスピースの正しい保管方法を紹介します。洗い方や手入れの注意点についても解説しているので、マウスピースを使用している方は、ぜひ参考にしてみてください。
マウスピースの保管方法を守るべき4つの理由
マウスピースは適切に保管する必要があります。その主な理由は、次の4つです。
- 紛失を防止するため
- 破損や変形を防止するため
- 虫歯や歯周病リスクを軽減するため
- 病気や口臭を予防するため
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
1.紛失を防止するため
マウスピースは取り外しができることから、紛失しやすいリスクがあります。特に、外食や旅行中、出張時などは注意が必要です。
食事や歯磨きの際に一時的に外したマウスピースをそのまま忘れてしまったり、帰宅してから紛失に気づいたりすることがあります。これを避けるため、取り外す時にはマウスピースを専用のケースに入れることを習慣化しましょう。
2.破損や変形を防止するため
マウスピースはとても薄い素材のため、破損や変形に注意しましょう。
着脱する際は、指定された手順に従い丁寧に扱います。また、装着したまま食事すると、マウスピースが破損や変形する恐れがあるので必ず取り外してください。
万が一破損した場合は、新しい装置の作成に時間がかかり、治療期間の遅延につながる可能性があります。加えて、修理や交換には追加の費用が発生することも考慮し、マウスピースの適切な管理に努めることが重要です。
3.虫歯や歯周病リスクを軽減するため
マウスピースは取り外しが可能ですが、虫歯や歯周病のリスクはあるので注意が必要です。
食後は、マウスピースを装着する前に必ず歯磨きをしましょう。食事の残りかすや口内の細菌が残ったまま、マウスピースを装着してしまうと、虫歯や歯周病の原因になりかねません。
また、マウスピースの清潔を保つのも重要です。適切な手入れと保管を両立させることで、虫歯や歯周病のリスクを最小限に抑えられます。
4.病気や口臭を予防するため
マウスピースの保管方法が不十分の場合、さらに細菌数を増やす要因となります。マウスピースの臭いは、細菌の異常増殖を示唆するサインです。
そのまま臭いのあるマウスピースを装着し続けると、口臭がきつくなる場合があります。また、細菌により粘膜のバリア機能を低下させ、感染症のリスクを高めます。高齢者の方は誤嚥性肺炎につながるケースもあるため、毎日の手入れを怠らないようにしましょう。
なお、次のページでは、マウスピースの臭いを引き起こす要因や予防策に焦点をあてて詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。
関連記事:【歯科技工のプロが教える】マウスピースの臭いが悪化する原因は?臭いを防ぐ具体的な方法もご紹介!
マウスピースにおける4つの正しい保管方法
マウスピースを適切に保管する重要性が理解できたところで、次は正しい保管方法を紹介します。
- 外す際は専用ケースに入れる
- 洗浄後はしっかり乾かす
- 適切な場所に保管する
- 保管期間を守る
項目ごとに詳しく見ていきましょう。
1.外す際は専用ケースに入れる
マウスピースは食事や歯磨きの際に外す必要がありますが、その際は専用のケースにしっかりと収納しましょう。専用ケースはマウスピースの紛失や破損防止だけでなく、菌や汚れから守る衛生的な役割もあります。
また、食事中に使用するケースと、洗浄後に保管しておくケースは別々に管理することを推奨します。近年、さまざまなデザインの専用ケースがあるので、自分のスタイルにあうタイプを選び、マウスピースの紛失・劣化を予防しましょう。
2.洗浄後はしっかり乾かす
マウスピースは濡れたままだと、細菌が繁殖しやすくなります。洗浄後は、マウスピースをしっかり乾かしてから専用ケースに収納しましょう。なお、乾かす際には、適度な通気性がある場所で乾燥させることが望ましいです。
一方で、ハードタイプのマウスピースなど、使用するマウスピースによっては水中保管が推奨される場合があります。歯科医院の指示に従い保管してください。
3.適切な場所に保管する
熱に弱いマウスピースは、直射日光の当たる場所や高温になりやすい車内などを避け、冷暗所や冷蔵庫など温度が安定している場所での保管が理想的です。
また、小さな子供やペットが触れないよう、手の届かない安全な場所に保管してください。これにより、マウスピースの損傷や誤飲のリスクを最小限に抑えることができます。
4.保管期間を守る
使用済みのマウスピースは、交換後も約30日間は保管することを推奨します。これは、新しいマウスピースに問題が生じた際の予備としての役割を果たすためです。
新しいマウスピースの破損や変形、もしくは紛失するリスクに備えて、古いマウスピースを一時的に再利用できるようにしておけば、万が一の事態にも迅速に対応できます。
マウスピースにおける3つの正しい洗い方
マウスピースを適切に保管するために、正しい洗い方を身につけておきましょう。洗い方は、主に次の3つです。
- 水道水で洗う
- 洗浄剤を使って洗う
- 超音波洗浄機で洗う
それぞれ詳しく解説します。
1.水道水で洗う
マウスピースの毎日の手入れには、水道水を使用するのが最も手軽で効果的です。洗浄時は、指で優しくこすりながら水道水で汚れを洗い流しましょう。
なお、研磨剤入りの歯磨き粉は使用しないでください。研磨剤が含まれていると、マウスピースに細かい傷がついてしまい、雑菌が入り込み汚れの温床となる恐れがあります。
また、歯ブラシを使用する際には、柔らかいタイプを用いて、力を入れずに優しく磨くことが大切です。
2.洗浄剤を使って洗う
マウスピース専用の洗浄剤は、歯科医院や市販のドラッグストアで手に入れることができます。洗浄剤は、目に見えない汚れやニオイを効果的に除去し、除菌も可能です。
洗浄剤には「つけ置きタイプ」と「泡タイプ」があり、使用する際は個人の好みやニーズにあわせて選びましょう。週1〜2回程度、あるいは臭いや汚れが気になるときに洗浄剤を使用するのが効果的です。
なお、弊社では「どんなタイプでも心を込めて作ったマウスピースを長く使っていただきたい…!」という想いから種類に関わらず、全てのマウスピースに使用できるマウスピース洗浄剤を発売しています。
歯科技工物のことを知り尽くした歯科技工所である弊社が提供する「マウスピースPROウォッシュ」について詳細情報が気になる!という方は、以下の商品ページをチェックしてみてください。
また、次のページでは、マウスピースの基本的な洗浄手順や頻度について解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
関連記事:【歯科技工のプロが教える】マウスピース洗浄の頻度は?基本的な洗浄手順や注意点を徹底解説!
3.超音波洗浄機で洗う
超音波洗浄機は、汚れや臭いの原因となる細菌を効果的に除去できる機器です。水を超音波で振動させ、目に見えない汚れまできれいに落とします。また、洗浄液と組み合わせれば、より強力に汚れを取り除くことができます。
超音波洗浄機は家電量販店やオンライン通販で、1,000円〜10,000円程で購入可能です。製品によって洗浄力に差があるため、購入時は価格だけでなく性能もよく確認しましょう。
なお、マウスピースが汚れる原因や正しい洗い方については、次のページでも詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【プロが教える】マウスピースの正しい洗い方とは?汚れる原因や注意すべきポイントを徹底解説!
マウスピースの保管方法でよくある3つの質問
ここでは、マウスピースの保管方法でよくある質問にお答えします。
- 質問1.保管や手入れする際の注意点は?
- 質問2.マウスピースの洗浄でおすすめのアイテムは?
- 質問3.マウスピースが劣化した際の兆候とは?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
質問1.保管や手入れする際の注意点は?
マウスピースの保管や手入れする際には、以下の点に注意が必要です。
- 熱湯消毒を避ける
- 研磨剤入りの歯磨き粉を使用しない
- 柔らかいブラシを選ぶ
- しっかり乾燥させてから保管する
マウスピースは高温に弱いため、熱湯での洗浄は変形・破損の原因になります。水もしくはぬるま湯を使用して洗いましょう。
また、研磨剤入りの歯磨き粉はマウスピースに傷をつける恐れがあるため使用は避けてください。指もしくは柔らかいブラシで優しく汚れを落としましょう。そして洗浄後は、しっかり乾燥させて保管することが大切です。
質問2.マウスピースの洗浄でおすすめのアイテムは?
マウスピースのお手入れには、以下のアイテムが役立ちます。
- 歯ブラシ(やわらかめ)
- マウスウォッシュ
- マウスピース専用の洗浄剤
マウスピースの清潔を保つ基本は、やわらかい歯ブラシと水を使用して磨くことです。専用の洗浄剤には、殺菌や消臭効果もあり、あわせて使用するとより効果的です。
また、歯磨きをしたあとマウスウォッシュを使用して口内もきれいにしておくと、細菌増加を防止できます。
次のページでは、おすすめのマウスピース専用洗浄剤を紹介しています。マウスピースの黄ばみや汚れにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:おすすめのマウスピース洗浄剤3選|選ぶ際のポイントや正しい使い方を徹底解説!
質問3.マウスピースが劣化した際の兆候とは?
マウスピースが劣化した際、次のような兆候があらわれます。
- 表面がざらついている、剥がれやひび割れが生じている
- マウスピースが歪んでいる
- 変色やくすみ、白い斑点ができている
- 歯に密着しにくい(フィット感の低下)
これらの劣化サインを見つけた場合、適切な手入れやメンテナンス、もしくは新しいマウスピースへの交換が必要です。
まとめ
ここまで、マウスピースの正しい保管方法や洗い方について詳しく解説しました。マウスピースの機能や効果を最大限に発揮するためには、毎日の正しい手入れが欠かせません。
この記事を参考に、マウスピースを清潔に保ち、適切な保管方法によってマウスピースの劣化や紛失を防止しましょう。日々の積み重ねが、口腔健康を維持するうえで重要な一歩になります。
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