スポーツ用マウスピースは、競技中の衝撃から歯や顎を守るだけでなく、パフォーマンス向上にも役立つアイテムです。ラグビーや格闘技のような接触が多いスポーツではもちろん、サッカーや野球など幅広い競技で重要性が注目されています。
本記事では、スポーツ用マウスピースの概要や主な効果、種類、使用する際の注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
スポーツ用マウスピースとは?
スポーツ用マウスピースは、競技の接触による衝撃から、歯や顎を守るために使用される保護具です。接触の多いラグビーや格闘技では、着用が義務化されており、歯や口腔内をしっかりと保護します。
さらに、サッカーや野球などのスポーツでも、パフォーマンス向上や安全性の向上を目的に着用している場合があります。また、矯正治療中の選手にとっては、マウスピースの装着が欠かせません。
衝突や道具の接触による歯の破損や神経損傷を防ぐため、正しいサイズや形状のものを選び、スポーツ中の安心感を高めるアイテムとして、マウスピースは欠かせない存在です。
スポーツ用マウスピースの主な効果は5つ
次は、スポーツ用マウスピースの主な効果について解説します。
- 歯が割れるのを予防する
- 噛みしめによる奥歯の負担を軽減する
- 粘膜や舌のケガを防止する
- 顎への衝撃を緩和する
- 脳への振動を和らげる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.歯が割れるのを予防する
スポーツ中の衝撃は、歯や顎に大きな負担を与える場合があり、スポーツ用マウスピースを装着すれば、リスクを大幅に軽減できます。ボールや対戦相手との接触による前歯の損傷は、競技者にとって深刻な問題です。
このため、マウスピースで歯を覆い保護すると、破折や脱臼といった怪我を予防して、安心してプレーに集中できる環境を整えられます。また、噛み締める力による顎や歯への負担を軽減する効果も期待され、競技中の安全性を高めるだけでなく、パフォーマンス維持にも役立ちます。
2.噛みしめによる奥歯の負担を軽減する
スポーツやトレーニング中、無意識のうちに歯を強く噛みしめているケースは珍しくありません。このような動作が繰り返されると、歯の摩耗が進み、場合によっては歯が欠けたりダメージを受けたりする原因となります。
さらに、長期間にわたる負担が蓄積すると、歯が揺れたり、深刻な損傷につながったりする可能性もあります。しかし、スポーツマウスピースを使用すれば、歯の摩耗や衝撃を効果的に軽減し、歯の保護が可能です。
3.粘膜や舌のケガを防止する
スポーツ中に口周りへ衝撃を受けると、歯の硬さや形状によって唇や舌を傷つけてしまう可能性があります。マウスピースは、歯を保護するだけでなく、粘膜や舌へのダメージを軽減する役割も果たしています。
とくに、接触の多いスポーツでは、口内の怪我を防ぎ、安心してプレーに集中できる環境を作るためにも、マウスピースの装着が効果的です。
4.顎への衝撃を緩和する
スポーツ中の衝撃は顎に大きな負担をかける場合があり、激しい動きや接触の多い競技では顎関節に深刻なダメージを与えかねません。
このようなリスクを軽減するために、スポーツ用マウスピースを着用すれば、顎全体にかかる衝撃を分散させられるため、骨や関節への負担を和らげ、怪我を防止できます。また、顎関節への負荷を減らすと、長期的なストレスや疲労の蓄積も予防できます。
5.脳への振動を和らげる
スポーツ中に体同士が衝突すると、衝撃が頭部に伝わり、脳震盪や頭部外傷のリスクが高まります。スポーツ用マウスピースは、このような状況で衝撃を分散させ、頭部へのダメージを軽減する役割を果たします。
また、マウスピースを噛みしめると首周りの筋肉が安定し、頭の揺れが軽減可能です。マウスピースは歯を保護するだけでなく、体のバランスをとる重要な役割を果たしています。
スポーツ用マウスピースの種類は3つ
次は、スポーツ用マウスピースの種類について解説します。
- 歯科医院で作製するマウスピース
- 自宅で型取りするマウスピース
- 既製品から自分で作るマウスピース
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.歯科医院で作製するマウスピース
歯科医院でマウスピースを作製する場合、自身の歯型をもとに作製するため、口内にしっかりとフィットしたものが出来上がります。既製品とは異なり、歯並びや噛み合わせに合わせて調整されるため、違和感が少ないのが特徴です。
また、歯だけでなく歯茎や粘膜も考慮して作られるため、運動中の外れやすさを防ぎ、安定感が向上します。適合性が高いマウスピースは、着用したまま水を飲んだり、会話や呼吸がスムーズにできたりするため、快適な使用感がメリットです。
作製費用は保険適用外で、歯科医院によって異なるため、見積りを確認しましょう。
2.自宅で型取りするマウスピース
自宅で型取りを行い、郵送で歯型を送って、作製するスポーツ用マウスピースも選択肢のひとつです。この方法では、手軽さが魅力ですが、はじめての方にとって正確な型取りは難しい場合があります。
このため、出来上がったマウスピースが歯にうまくフィットせず、使用感に違和感を覚えたり、外れやすかったりする問題が生じかねません。また、厚みが増すため、歯科医院で作製されるものに比べて異物感がある点もデメリットです。
しかし、比較的リーズナブルな価格で手に入るため、簡便さを求める方にとっては利便性の高い方法です。
3.既製品から自分で作るマウスピース
お湯で柔らかくしたマウスピースを口に入れ、噛んで自分の歯型に成形する市販タイプの製品は、手軽に使用できるのが特徴です。比較的フィット感が得られるものの、完全な適合性や高い保護効果を求めるのは難しい場合があります。
既製品は標準的なサイズで作られているため、個々の口の大きさや形に合わない場合もあり、装着時に違和感を覚える可能性があります。また、適切にサイズが合わないと、衝撃を十分に吸収できず、効果が十分に発揮されないケースも少なくありません。
このため、購入の際は、製品のサイズや使用感を確認して、自分に適したものを選びましょう。
スポーツ用マウスピース作製の流れ
歯科医院でスポーツ用マウスピースを作製する流れは、以下のとおりです。
- 口腔内の健康状態を確認する
虫歯や歯周病があれば、治療を実施する。状況によっては、型取りを同時にする場合もある
- マウスピースを作製する
歯型を取り、年齢やスポーツの種類に応じて適切な素材を選び、マウスピースを作製する
- 完成したマウスピースの調整
マウスピースを装着して噛み合わせや快適性を確認して、必要に応じて調整を実施する。成長期の場合、顎の形が変化しやすいため、定期的な検診でマウスピースの状態を確認して、噛み合わせや破損の有無をチェックする
スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点は3つ
次は、スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点について解説します。
- 虫歯のリスクが高まる
- 細菌が増殖する可能性がある
- 歯肉退縮が起こる可能性がある
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.虫歯のリスクが高まる
スポーツ中にマウスピースを装着している場合、密着性の高い構造により唾液の自浄作用が弱まる場合があります。糖分を多く含むスポーツドリンクを摂取した場合、歯の周囲に糖分が残りやすく、虫歯リスクが高まる可能性があります。
このため、使用後にはマウスピースを丁寧に洗浄して、乾燥させて専用のケースに保管することが大切です。また、マウスピース着用時には糖分の摂取を控えるか、飲用後に外してうがいをして、歯の健康を守る工夫が欠かせません。
日頃のセルフケアに加え、定期的に歯科医院でのチェックを受けると、快適に使用し続けられます。
2.細菌が増殖する可能性がある
口腔内には多くの細菌が存在するため、スポーツ用マウスピースの適切な清掃が欠かせません。使用後はすみやかに流水で洗い、柔らかい布やブラシでよごれを落としましょう。
また、専用の洗浄剤や入れ歯用洗浄剤を使用すると、細菌やカビの繁殖を防ぎ、清潔な状態を保てます。しかし、洗浄剤の使用がマウスピースの材質に影響を与える場合もあるため、使用前に確認が必要です。
不適切な清掃は、口臭や口腔内のトラブルの原因となる場合があるため、丁寧なケアが欠かせません。清掃方法に不安がある場合は、歯科医院に相談するのが安心です。
3.歯肉退縮が起こる可能性がある
口に合わないスポーツ用マウスピースを使い続けると、マウスピースの縁が歯茎に当たり続け、炎症や歯茎の後退(歯肉退縮)を引き起こす可能性があります。自宅で型を取って作製したマウスピースは適合性が低い場合があり、長期的な使用で歯茎へのダメージが蓄積する可能性があります。
歯茎が下がると、歯の根が露出して、知覚過敏の原因となるため、自分に合ったマウスピースを使用することが大切です。歯科医院で作製したマウスピースは、口腔内に適切にフィットするため、このようなトラブルを予防しやすくなります。
オーラルケア商品の購入に「お口のお店 Oral Care Shop」がおすすめな理由
「お口のお店 Oral Care Shop」は、歯科技工所が選ぶオーラルケア商品専門店です。お口の悩みを持つすべての人のために、歯科医師に認められた厳選商品を販売しています。
マイナスイオンによって歯垢を除去できる歯ブラシやパワフルな消臭・洗浄・除菌の3つの効果を持つ入れ歯洗浄剤など、歯科技工所が推薦する商品は、口腔内のケアに欠かせないアイテムばかりです。
スポーツマウスピースでよくある3つの質問
最後に、スポーツマウスピースでよくある質問について紹介します。
- 質問1.スポーツ用マウスピースの作製費用の相場は?
- 質問2.マウスピースの適切な保管方法は?
- 質問3.歯ぎしり用とスポーツ用マウスピースの違いは?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.スポーツ用マウスピースの作製費用の相場は?
スポーツ用マウスピースの作製費用の相場は、以下のとおりです。
- 歯科医院で作製する
保険適用外のため、10,000〜50,000円程度が相場。適合性が高く安定した装着感が得られるため、プレー中の安心感やパフォーマンス向上が期待できる
- 自宅で型を取って郵送する
費用は、10,000〜30,000円程度。手軽に利用できるものの、歯科医院で作製するものほどの精密性は得られない場合がある
- 既製品から自分で作る
費用は、1,000~3,000円程度とリーズナブルだが、適合性が低く、効果に限界がある
質問2.マウスピースの適切な保管方法は?
スポーツマウスピースの洗浄は、形状を保つために注意が必要です。熱湯を使用すると変形や破損の原因になるため、洗浄には水やぬるま湯を使用してください。
使用後は、柔らかいブラシで優しく洗い、専用の洗浄剤や除菌スプレーを活用すると、衛生状態を保てます。洗浄後はしっかり乾燥させ、専用のケースに保管しましょう。放置や不適切な保管は、変形や異臭の原因となり、マウスピースの性能を損なう可能性があります。
なお、マウスピースの正しい保管方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【歯科技工のプロが教える】マウスピースの正しい保管方法|洗い方やよくある質問まで徹底解説!
質問3.歯ぎしり用とスポーツ用マウスピースの違いは?
歯ぎしり用マウスピースとスポーツ用マウスピースは、それぞれ異なる目的に応じて設計されています。歯ぎしり用は、主に就寝中に使用され、歯ぎしりや食いしばりによる歯や顎への負担を軽減します。
また、柔らかい素材で作られているため、長時間装着しても快適さを損ないにくい点が特徴です。一方、スポーツ用マウスピースは運動中の衝撃や接触から歯を保護するために開発されており、厚みのある硬い素材で耐久性と衝撃吸収性が重視されています。
装着感においても、歯ぎしり用は軽量で違和感が少ないのに対して、スポーツ用はやや厚みがあるため、広い範囲をしっかりと保護できます。
なお、睡眠中のマウスピースによる効果については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:睡眠中のマウスピース(ナイトガード)による効果は?装着するメリット・デメリットを解説!
まとめ
本記事では、スポーツ用マウスピースの概要や主な効果、種類、使用する際の注意点をご紹介しました。
スポーツ用マウスピースは、競技中の衝撃から歯や口腔を守るだけでなく、パフォーマンス向上にも役立つ大切なアイテムです。主な効果として、歯の損傷を予防したり、噛みしめによる奥歯の負担を軽減したりする点があげられます。
さらに、粘膜や舌のケガ防止や顎への衝撃を緩和して、脳への振動を和らげる効果もあります。マウスピースの作製方法には、歯科医院での作製や自宅で型取りする方法、既製品から自分で作る方法の3つです。
それぞれメリットやデメリットがあるため、自分の用途や予算に合わせて選びましょう。また、着用していると虫歯や細菌増殖などのリスクがあるため、適切なケアが欠かせません。
なお、「お口のお店 Oral Care Shop」では、お口の悩みを持つすべての人のために、歯ブラシや入れ歯洗浄剤など、歯科医師に認められたオーラルケア商品を販売しています。⇒お口のお店Oral Care Shopはこちら
コメント